クリニックの評価制度は「小さく」始める|スタッフが納得する3ステップ
「昇給の基準を聞かれて、うまく答えられなかった」「頑張っている人とそうでない人の給料が同じで、頑張っている人の方が不満を持っている」。
評価や給与の悩みは、院長からよくうかがうご相談のひとつです。
とはいえ、一般企業のような等級制度や目標管理をクリニックにそのまま持ち込んでも、運用しきれずに形だけになってしまうことがほとんどです。
私は医療法人の事務長として、評価の仕組みづくりと運用に携わってきました。その経験から、クリニックの評価制度は「小さく始めて、続けられる形にする」ことが一番大切だと考えています。
評価制度がないと起きること
評価の基準がないクリニックでは、昇給や賞与が院長の印象で決まりがちです。院長に悪気はなくても、スタッフからは次のように見えます。
- 何を頑張れば評価されるのかわからない
- 院長と話す機会が多い人が得をしているように感じる
- 長く勤めても、自分が成長しているのか実感できない
そして、不満を口に出さずに辞めていくのは、多くの場合、真面目に頑張っている人です。
小さく始める3ステップ

ステップ1:期待することを言葉にする
最初にやることは、点数表づくりではありません。「このクリニックで、スタッフに何を期待しているか」を言葉にすることです。
職種ごとに、5〜8個ほどに絞って書き出します。

ポイントは、行動で書くことです。「協調性がある」ではなく、「忙しいときに、自分から他のスタッフに声をかけて手伝っている」のように書くと、本人も評価する側も判断しやすくなります。
ステップ2:半年に一度、一対一で振り返る
項目ができたら、半年に一度、一人ひとりと振り返りの時間をとります。
- まず本人に、自分で評価をつけてもらう
- 院長(またはリーダー)も評価をつける
- 二人の評価がずれているところを中心に話す
大切なのは、点数をつけることよりも、この対話そのものです。「ここは期待以上だった」「ここはこうしてほしい」と具体的に伝えることで、スタッフは自分が見てもらえていると感じます。
ステップ3:処遇とのつながりを決める
評価の結果を、昇給や賞与にどう反映するかを決めます。
最初から細かい計算式をつくる必要はありません。たとえば、「評価の結果を、賞与を決めるときの参考にする」「一定の評価が続いたら、役割と手当を見直す」といった大まかなルールからで十分です。
ただし、評価と処遇がまったくつながっていないと、制度は続きません。 小さくてもよいので、つながりを示すことが大切です。
導入するときに気をつけたいこと
評価制度でつまずきやすい点
- 項目が多すぎる:20項目も30項目もあると、評価する側もされる側も疲れて続きません。まずは5〜8個に絞ります。
- 説明せずに始める:なぜ評価制度を入れるのか、何のために使うのかを、始める前に全員に伝えます。「給料を下げるための仕組みでは」と誤解されると逆効果です。
- 減点のために使う:できていないことを指摘する場ではなく、成長を後押しする場にします。
- 一度決めたら変えない:1年運用したら見直します。クリニックの状況に合わせて、項目は変えてかまいません。
給与や労働条件の変更を伴う場合は、就業規則や賃金規程との関係を確認する必要があります。顧問の社会保険労務士にも相談しながら進めることをおすすめします。
評価する側の負担を減らす
評価制度が続かない一番の理由は、院長の時間が足りないことです。全員と面談し、評価をつけ、処遇に反映する作業を、診療の合間に院長ひとりでこなすのは簡単ではありません。
- 一次評価をリーダーに任せる
- 面談の日程調整やシートの準備を事務スタッフが担う
- 面談に第三者が同席し、記録と整理を引き受ける
このように役割を分けると、院長は「伝えること」に集中できます。リーダーの育て方については、院長の「右腕」になるリーダースタッフの育て方もご覧ください。
貴院に合った形で、一緒につくる
Medical Essentialでは、事務長の実務経験をもとに、評価項目づくり、スタッフへの説明、面談への同席、運用の見直しまで、評価の仕組みづくりを伴走しています。他院の制度をそのまま当てはめるのではなく、院長の考えとクリニックの規模に合った形を一緒に考えます。
FREE CONSULTATION
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「何から手をつければいいかわからない」「以前つくった評価表が使われなくなった」という段階でも大丈夫です。無料相談では、現在の状況をうかがい、無理なく続けられる進め方を一緒に整理します。
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AUTHOR
北野 雄也 Medical Essential 代表
医療法人の事務長として、採用・組織づくり・経営改善に携わる。医療コンサルタントとして開業支援から経営改善まで幅広いプロジェクトを担当。事務長の実務経験をもとに、「院長の右腕」としてクリニックの数値管理・組織づくり・業務改善を月額の顧問サポートで伴走している。

